COLUMN
私たちの見ている色
その他
2024年10月22日
- 目次
こんにちは/こんばんは
秋も終わり、冬が近づいてきましたね。
皆さんは2024年の日本流行色協会の定めた、今年の色はご覧になりましたか?
今年の流行色である、”モデレート・ブルー”は
混迷の数年を乗り越えて日常が戻りつつある今、期待と不安を胸に次の時代へ歩き出すうえで、時代の混沌や世の中の不平不満を浄化し未来を明るく照らし前向きにしてくれる明るく優しいブルー
を表しているそうです。
日々様々なことが起こり、まだまだ不安や心配も多くあるご時世ですが、
残り3ヶ月となった2024年を、この色のように明るく前向きに頑張りましょう!
さて第三回目のコラムは、「私たちが見ている色」です。
私たちの見ている色というものは、太陽光や蛍光灯などの光源から放出される電磁波が物体に当たり、反射したものを見ています。
さらにその中でも可視光線と呼ばれる、約380㎚~750㎚の間に存在している波長が色の正体です。
例えば、真っ赤なリンゴは赤色の波長を反射しており、その他の色の波長はリンゴが吸収しているため私たちの目には届きません。
このように、反射した色を私たちは物体の色として認識し、見えない色は対象物へと吸収されています。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
それは、波長の長さが異なるためです。
雨上がりに空に浮かぶ虹は、内側から赤・橙・黃・緑・青・藍・紫となっています。
それぞれの距離の長さは、内側は短く、外側になるにつれて長くなっていきますね。
これは太陽から放出された光が、空気中の水滴によって反射し各方向へ散乱することで
波長に違いが生じ、それぞれの色の違い表れています。
しかしながら色はとても複雑で、天気や角度、光の当たり方によって色の見え方は変化しています。
また環境だけではなく、私たち自身の目の色素、その日の気分や体調でも見え方に変化があるようです。
同じ原理で発生している虹に対して、虹は5色と言われている国もあることからも
色を明確に分けることは、とても難しいことが分かります。
このように色は曖昧で感覚に左右されがち、と思われるかもしれませんが
印刷・アパレル業界ではさまざまな工夫をして色を定義しています。
そうすることで、お客様との色の認識差異を防いだり、色に再現性を持たせることができます。
まず1つ目に色見本帳を使用することです。
(印刷物では”PANTONE®色見本”や”DICカラーガイド”等を使用することもあります。)
日本工業規格(JIS)に採用されている「マンセル値」を使用し、色をそれぞれ3つの状態に分けて区別しています。
・色そのものを示す色相(Hue:ヒュー)
時計回りに「R(赤)・Y(黄)・G(緑)・B(青)・P(紫)」を配置した基本5色相とし、
それぞれの色の間に「YR(黄赤)・GY(黄緑)・BG(青緑)・PB(青紫)・RP(赤紫)」を配置した10色相で構成されています。
また、色相環から対象の位置に存在する色を補色(ダイアード配色)と言います。
色相の違いが明確であり、お互いを引き立てる効果を持っています。
・色の明るさを示す明度(Value:バリュー)
1~9.5までの数字で表し、数字が大きいほど明るい色であることを示します。
理想的な黒を0、理想的な白を10とし、数字が大きいほど「明度が高い」と言います。
・色の鮮やかさを示す彩度(Chroma:クロマ)
0の無彩色から、彩度が高い方へ1から順番に数値が上がって行きます。
最高彩度の値は色相ごとに異なり、現状で安定して色再現できる範囲だけを色票化されています。
今後鮮やかな色料が開発されるに従って、数値が変化していく可能性があります。
2つ目は色の見るための環境の調整です。
上記のようにマンセル色相環を使用し色を識別する際には、人間の目で色を見分けることとなります。
これは、基準色を実際に並べて比較する「直接比較法」であり、光の当たり方や光源により色が異なって見えることがあります。
自然光では明るく見えたが、蛍光灯下で見るとくすんで見えるなど、光源や見る方法によって色が合わないケースもあるため
あらゆる条件を規定して行われます。
観察する角度は光源からの光と45度とし、光源を標準イルミナントA、測色用標準イルミナント D65(CIE、ISOの基準光)
またはCIE標準光源D50といった指定された光源のいづれかを使用します。
この時の作業面内では1000~4000lxの照度が必要となります。
最後に色がぶれないように無光沢、無彩色の内装のブースでの作業環境が必要となります。
このように様々な条件を規定して色を見ることで、色を揃えることが可能となります。
街には色々な色が溢れており、それらの色には作り手の思いや意図が込められています。
私事ですが先日セブンイレブンへ振込に行った際に「オレンジ」「緑」「赤」3色のロゴが、遠くからも目を引いていました。
調べてみると「オレンジ」は夜明けの空、「緑」は砂漠のオアシス、「赤」は夕焼けの空を意味しており、夜明けから夕刻までの間を示していることや、今回のコラムから「オレンジ」「赤」と「緑」で補色の関係として各色が強調されていることがわかります。
普段何気なく手に取っている商品も、その商品を選びたくなるような色々な色の工夫があってのことかもしれませんね。